ゲームだからといって甘くはない

プレイステーションや NINTENDO Switch に代表される,いわゆるゲームは,意識していればココロを鍛える道具にもなりそうです。実は今年の年始に NINTENDO Switch を購入しました(いい大人が恥ずかしいので,あまり公表せずにいました・・・)。年末に甥っ子と姪っ子にボロボロに負けて,何とか見返してやろう!と思ったからです。ちなみに購入したソフトは「マリオカート8デラックス」というレースもの。

何となくやっていてもそれなりに上達するのですが,一定レベル以上になると,何度やっても勝てなくなります。どうやら4レース連続して1位にならないと次のステップには進めないようなのです。これには大変苦労しまして,たとえ最後の1レースでも,2位以下にでもなろうものなら,1レース目からやり直しなのです(涙) あとちょっとのところで抜かれたり,攻撃されたりして,順位を落とすことが何度もあり,そのたびに「え~~なんで~~!」と叫んでいました。すごく落胆したし,腹も立ちました。たかがゲームで・・・と思うかも知れませんが,勝ちたい!と思い真剣にやっていると,本当に悔しいのです。もう何度経験したことか・・・

囚われている自分に気付く

でもこれは,良い学びだとも感じました。

そもそも悔しくて腹が立ち,ココロがしんどいのは「勝ち」に対する執着があるからです。森田療法では「囚われ」とも呼びます。私たちの悩みの多くは,無意識のうちに何かに囚われている状態なのです。多くは,人との比較で自分が劣っていると感じたり,人のせいで自分は不幸だ,というような他人に対する囚われです。心理カウンセリングの現場ではよくお目にかかります。

では「勝つことを放棄して,ゲームを辞めるのが正解」かというと,そういう場合もありえますが,現実には勝って前に進みたいものです。であれば,負けることを受け入れ,その中途半端な状態に耐えられる自分に鍛え上げるしかありません。どうすれば良いかは人それぞれです。私のマリオカートの場合「一旦離れ,工夫して再度チャレンジする」でした。幸いにもこれがうまくいき,数週間かかってようやく,目標としていた点に到達することができました。勝ちに執着し,感情が高ぶっていると,一旦その場を離れることは意外と難しいのです。パチンコなどの賭け事にも同じような罠があります。そして工夫をすることなく,何度も同じ戦略で臨んでしまうのです。それでは勝てなくて当然です。

折り合いを付けることで乗り越える

勝つか負ける,白か黒という2極思考を,私たちはつい犯しがちです。これは論理療法や認知行動療法においては,自動思考や固定観念などと呼ばれ,典型的に見られるココロの罠なのです。私たちの人生のほとんどはグレーです。しかし理屈では分かってはいるけれど,実感としては難しい。ところが視点を変えると,負けることによって,良い面もある事にも気付かされます。「弱者の気持ちが分かる」「もっと工夫しようとする」などです。これがグレーを受け入れるということです。不快な出来事に対し自分なりに折り合いをつけることでココロは成長します。この快感はそう簡単に手に入れられるものではありません。乗り越えた者にしか与えられない宝です。ゲームをするなら,是非こういう体験を積み重ねて貰いたいものです。ちなみにこのプロセスは,論理療法や認知行動療法の本質そのものです。

生身の人間との関わりも忘れずに

たかがゲームですが,ひとつひとつを丁寧にみていけば,ココロの成長に役立つものもあるのです。もしかしたらあなたのお子さんも,そのくらい苦労して頑張ってゲームをし,そして成長しているのかも知れません。少し興味をもって,子どもたちのやっていることに目を向けてみるのも良いでしょう。しかし「ゲームだけ」というのはよろしくありません。生身の人間と接して,喜びや楽しさはもちろん,悲しみや割り切れない思いなどを経験し,ココロを成長させていくことも忘れてはなりません。何事もバランスです。言葉にすると簡単ですが,これは本当に大切です。