こころのヒント

うつ病を思い出す その3

前回に引き続き,私がうつ病だったときのことを,とりとめもなく綴ります。心理カウンセラーとなっている現在の視点も時折交えています。今苦しんでおられる方や周囲の方にとって役立つ情報があるかもしれません。気楽にご覧ください。

傷病手当金が経済的支え

休職中は働いていないわけですから,会社からのお給料は当然ありません。しかし一定条件を満たすと,健康保険組合からの「傷病手当金」が支給されます。私はこれに支えられました。支給期間は最大1年6ヶ月。私の場合,その期間で復職することができず,最終的に打ち切りとなりました。

傷病手当金は給料ではない

傷病手当金の支給額は,給料と同じではなく,概ね60%くらいになります。もちろん給料のように,残業代やボーナスはありませんので,働いていた時と同じ金銭感覚でいると,痛い目に遭います。私は車とバイクが好きで,どちらも所有しておりましたが,バイクの方は手放すことにしました。持っているだけも保険やら車検やらで(多大な)お金がかかってしまうからです。そうはいっても,うつ病がひどいときは,そもそも意欲が湧かないのと,将来への不安から,自然と出費は減りました。

極力避けたい会社とのコンタクト

私のいた会社では,休職者は,週に1度上司に電話することなっていました。たった7日間で何かが変わるわけもなく,わずか数分の会話とはいえ,電話の度に緊張していました。ちなみに3ヶ月に1度は,会社に訪問しなくてはならないという,高い高いハードルがありました。「如何にして人と出会うことなく保健室まで辿り着くか?」こんなことを真剣に考えていました。私の置かれた状況を知らないであろう人に対して,どういう気持ちや表情で,顔を合わせて良いか分からなかったからです。

現状を維持したい

とにかく1日でも長く現状維持したい(休職していたい),そんな気持ちが強かったです。復職できる自信がなく,意欲も湧いて来ず,退職したとしてもその先の展望も見えない,八方塞がりでしたから。休職した当初は「違う職種(部署)なら頑張れるかも」という思いはありましたが,異動は会社の方針上あり得ないようでした。つまり私にとって,休職期間の終了は「退職」を意味していました。

転職情報も漁った

退職を意識する以前からですが,転職についての情報は集めるようにしていました。何か未来への展望があれば,気持ちが上向くかも?と思ったからです。その頃よく見ていたのは「はたらいく」という求人サイト。実際に応募することはありませんでしたが,見ているだけで,焦りは多少紛れました。

その4につづく


うつ病は長期戦

うつ病は最悪の時期を脱した後が本当の試練なのかもしれません。回復のためのあと一歩がなかなか進まず,モヤモヤとした精神状態が長く続きがちです。私の場合,展望の持てない未来が,精神状態に影を落としていたように思います。まだ来ぬ未来を考えても仕方ないことは,理屈の上では理解しつつも,感情には落とし込めなかったのです。しかし最終的には,未来に希望が持てるよう,諦めずチャレンジして,一つ一つ積み重ねていくことで,解決への糸口が見えてきました。その辺の話は別途触れることにしましょう。

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